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姉妹たちは半狂乱となりますね。京マチ子はぶち切れ必至です。この遺言書は有効とはいえさすがに「それはないやろ」「あんまりだ」と民法が間に入ってくれます。
すみません、法律用語使わせてもらいます。
「遺留分の減殺請求」(いりゅうぶんのげんさいせいきゅう)
「遺留分」とは相続人が財産を最低これだけは受け取れるという権利の割合のことで、分け前に不満があるときにほかの相続人に対して足りない部分を請求することができます。
「遺留分」が認められるのは①おくさん②子供たち③父母で兄弟姉妹には遺留分はありません。
その割合は
相続人が
奥さんだけのとき → 財産の2分の1(本来なら全額)
子どもだけのとき → 財産の2分の1を子どもの数で分ける(本来なら全額)
奥さんと子供のとき → 奥さん 財産の2分の1の½(本来なら2分の1)
子ども 財産の2分の1を子どもの数で分ける、その½
こんな具合だす。
ですから若尾文子と姉妹三人で半分ずつということになります。
さてここからが改正の話につながります。
姉妹たちからの「自分たちの取り分を返してちょうだい」請求があったばあい、
土地建物の権利が共有状態になる、ということです。
全員の承諾がなければ処分できない、売ろうにも売れないということになってしまいます。
本来「現物を返還する」のが原則ですがお金で渡すこともできます。
ただし、かわりにお金で払うといえるのは若尾文子のほうであって、3姉妹からは希望を伝えることはできても強制的に払えとはいえなかったのです。「価格で弁償することも許される」と。
経営者が亡くなって事業承継の問題が生じる。長男に会社の社屋、工場などの土地建物を、長女に預金を相続させる旨の遺言をする。奥さんはすでに他界。
長女は自分の取り分が少ないと「遺留分の減殺請求」をする。
するとどうなるか。
この請求をしただけで土地建物の複雑な共有状態が発生する。「当然に」発生してしまっていました。
ただでさえ兄弟間でもめているところに将来にわたる新たな火種となります。
これは事業承継を円滑に進めるうえで問題となっていました。
改正で
3姉妹は「遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる」とされました。
「遺留分の金銭債権化」ということです。
ただし、「足りない分はお金で払います」と若尾文子がお金で払えられればいいのですが、工面できなければ不動産を売却するなどしてその資金にあてるなどしないといけませんね。
そんなことが想定されるために手が打ってあります。
「直ちに金銭を用意できないばあい、裁判所に相当の期限の許可を付与するよう請求できる」とされ、そのときは「履行遅滞」にならないといってくれてます。
今回の民法の改正は相続のさいの手続きがめんどうだったこと、もめるもととなっていたことをなんとかしようじゃないか、故人のめんどうをみてきた人に光をあてようじゃないか、そんな思いが見て取れます。
2019.6.21