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⭐相続税講座8~介護してくれた親族に光を「特別の寄与」~


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若尾文子への相続が遺言状に書いてなかったら陰の女「文乃」には取り分はありません。

それで終わり。「婚姻届」がないと奥さんとしての相続上の権利はありません。

もし、文乃が芳三が病に伏しているとき生活上の世話や介護に尽くしていたとしたらどうでしょう。

それでも相続には登場しません。


特別の寄与

亡くなった人の療養看護をしてくれていた人への配慮考慮です。これも改正の目玉となっています。


現行制度では相続人以外の人は亡くなった人の介護に尽くしても相続に影響しなかった。「尽くしても尽くしても長男の妻」のご苦労は評価されなかった。介護する人も見返りを期待していなかったケースもあるでしょう。


お父さんが亡くなったときもっぱら世話をしてくれたのは長男の妻で次男や次男の妻はときどき見舞いにやってくるだけで長男の妻にまかせっきりでした。

現行では

相続人以外の人は介護しても相続財産をもらえなかった。長男の妻は相続人ではありません。いっぽう、なんにもしてこなかった次男夫婦には相続財産を受け取ることができる。これでは不公平ではないかと民法は声を上げます。


「長男の妻は次男に対して特別の寄与分について金銭で請求することができると改正されました。

私のばあい高齢の母の介護に特別に寄与しているのは大分に住む妹の旦那です。私はたまにふらっと別府にある介護施設にお見舞いに行って温泉に浸かり杉乃井パレスの豪華バイキングを食べて東京に帰ってくるだけです。

神妙な顔をして「いやぁ、介護でたいへんなんです」とため息交じりに周囲にもらしてあちこちで同情をかってはいますが、介護のためと称し「嬉々として」見舞いにいっているのではないかという疑惑すらでています。


その妻、私のおくさんもなーんも寄与していません。「寄与」するとかえって状況が悪化するかもしれません。福島の被災地支援にいってかえって現地のお荷物になってしまうのと似ています。むしろ「寄与しない」ほうが母はこころおだやかに暮らせるのではないか。むづかしいところでこのへんも民法になんとかしてもらいたいところです。


妹の旦那は相続人ではありません。ありませんが妹ともに多忙な中、母を引き取りめんどうをみさせてもらえないか、といってきたのです。そんな弟の殊勝なこころざしとやさしさ、労苦に対し「相続財産をもらえる権利」を与えたのです。


請求できるのは「親族であって相続人でない人」で、遺産分割とは別の枠組みです。相続人に請求するということ。

そして「寄与」には「してあげたこと(療養看護、扶養)」は入りますが「お金をだしてあげたこと」は除外されます。汗をかかないお世話に報いるものではありません。

「無償で」やってあげていたことも条件です。

相続があったことを知った時から6カ月、相続開始から1年までに請求しなくてはならず注意が必要で、金銭をいくらと見積もるか算定根拠が必要で弁護士さんに相談することになるでしょう。


「文乃」若尾文子は心をこめて尽くしてあげていたとしても親族ではないため「特別な寄与」の請求はできません。

2019.6.22