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⭐相続税講座9~後継ぎをどうする~


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「遺産のうち矢島商店として使用中の土地、建物、及び商品備品いっさい暖簾、営業権はそれぞれ分割することなく次女千寿に相続し、夫良吉は二代目から商いをしている矢島芳三を襲名し商いに従うこと」


遺言書にはこう書き残してありましたね。

次女千寿の婿養子良吉が暖簾を受け継ぐことになりました。「分割することなく」がきもですね。矢島商店は個人商店です。株式会社であれば「株式の全部を相続させる」となりましょう。

「ただし月々の純益の五割分は長女藤代と次女千寿、三女雛子の間で三等分にして所有すること」とも言い添えてあります。

芳三は良吉の商いの才覚を見込んで商店の将来を託すことにしました。しかし事業はどうなるかもしれない先は闇の世界ですから、継続発展したときのこと、事業が立ちいかなくなった時のことも見据えて、「純益」を三等分するよう命じました。


「株は相続させる」しかし、3姉妹を「株主」と見立てて将来にわたって「配当可能利益」をベースにした「配当」をするように考えていたところが芳三の先見性です。


「銀座で生き残っている老舗は女系家族」と聞いたことがあります。これはと見込んだ優秀な従業員を婿にとることで時代の変化に翻弄されずに家業を守っていける。長男、次男は必ずしも商いにたけているというわけではありません。むしろ、欲がなくぼんやりしたぼんぼんであることが普通でただ長男だからといって事業を継がせるとたちまち家業は傾くことになる危険性があります。それはみなさんご承知のとおり。


良吉はすでに事業の主役が「個人商店」から「株式会社」にかわってきていることに気がついています。矢島商店に見切りをつけてあらたに株式会社を立ち上げ、顧客いっさいを自分の取引先にしてしまおうと企んでいます。いまでもよくあるやりかたですね。従業員も引き抜いて。良吉や奉公人の抜けた矢島商店はもはや抜け殻で、いずれ事業は立ちいかなくなるため「純益」の配当など意味のないものになりますね。


現在雇用の7割を支えている中小企業が著しく減少しています。この15年間で483万社から380万社に減少しています。その原因はいろいろありましょうがいわれているような「経営者の高齢化と後継者不足」が主因ではなく、まず大企業の事業の中国などへの海外流出があって、そこから仕事をもらっていた中小企業も海外展開せざるを得なくなった、とはいえ海外事業にかかわるだけの決断力や体力もないところに、経営者の高齢化などに直面するという流れなのではないかと思います。

優秀な後継者はいるのですがほかにいってしまう、優秀であればこそ安定を求めてあえてリスクを背負うようなことはしない。


「今後5年間で30万人以上の経営者が70歳に到達」するとの統計もあります。

優秀な技術者、工場などの土地建物を持ちながら先行きが見通せない。事業承継の問題はいま、廃業を回避するために「M&A」と「事業承継税制の利用」の2つの選択肢があります。

税理士仲間では「M&A」(吸収合併)が主流になるのではとささやかれています。東京税理士が運営しているマッチングサイト*での成約も少なからずみられるという報告も受けています。

*「買いたい人」と「売りたい人」の出会いの場です。

2019.6.23