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子どもとの間で相続が発生するとまず、自宅を奥さんが相続し、残りの現金預金を子供たちで分けることがあります。
すると奥さんの現金の受取る額がその分少なくなりますね。
奥さんはその後の暮らしをどうしたらいいのでしょう。
あるいは相続税を払うために住んでいた家を売ることになったり、奥さん以外の人の手に渡ってしまったばあい、奥さんは住み慣れた家からただちに出ていかなくてはなりません。
そこで、「亡くなった方の所有する自宅に同居していた奥さんが家賃を払うことなく自宅に住み続けられる権利が新設されました。いままでになかった権利です。権利には短期と長期があります。
(配偶者短期居住権)
奥さんの住む権利は法律で整備されていませんでした。
「ただで住む」契約がご主人とのあいだで成立していた、と判例は考えてあげていたのです。(推認)
それを改正によってご主人が反対だといっていたとしてもその意思にかかわらず奥さんは住み続けることができるようになりました。(配偶者短期居住権)
遺産をどう分けるか決まるまでの間、また人の手にわたってしまうこととなった場合、最低6カ月奥さんの住む権利が保障されました。
ただし、亡くなったときに一緒に住んでいたことが条件です。また、貸したりして収入を得ることはできません。
(配偶者長期居住権)
これは大きな改正で、新設された権利です。
奥さんが亡くなるまでその家に住むことができる権利です。その権利を金銭化しました。
いままでおばあさんが自宅を相続してしまうと、娘が預金を相続することになっていました。
おばあさんは家はあるけど金はないという相続になっていました。そこでおばあさんの生活費をおもんばかり「家に住む権利」を権利として金銭評価し、財産を分割するさい家の価値を2000万円の所有権と2000万円の配偶者居住権にわけることにし登記できる相続財産としたのです。その結果おばあさんは家賃を払うことなく安心して住み続けることができます。
所有権はおばあさんが亡くなるまで住む権利をもった所有権だからその土地の価値は下がります(ばあちゃんのくっついた負担付き所有権)。そしてこれが重要なのですが「処分が認められない」。売れない!
その建物がおじいさんおばあさん以外の人(たとえば長男など)と共有している場合は居住権は成立しません。
遺産分割のときの選択肢のひとつとして、また遺言によっておばあさんはその権利を得ることになります。
さて、その住み続けることのできる権利はどう評価するのでしょう。
ご夫婦が35歳の時に建てた東京近郊の木造の土地建物で4200万円だったとします。おばあさんが75歳の時におじいさんが亡くなりました。
この4200万円から負担付き所有権を除いた残りが配偶者居住権となります。
では、その負担付き所有権はどう評価するかですが、ずばりおばあさんがあと何年生きているか(平均余命)をもとに計算します。亡くなったときにこの居住権は消滅しますから亡くなったとき(平均余命15年、90歳)に建物価額が0円になるとして土地の価格を算定した1500万円が配偶者居住権ということになります。
4200万円が2700万円の所有権と1500万円とに分割されます。35%土地の価格が下がります。
下がった分だけおばあさんは遺産分割で預金があればその分手にすることができます。
注意! 配偶者居住権に関する改正民法の施行は2020年4月1日からです。(法律の成立は2018年7月ですが遺言書の方式の緩和は2019年7月、遺言書の保管に関するものは2020年7月からと施行日がさみだれ式ですので注意が必要です。