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大阪船場の暖簾を守る矢島商店の当主が亡くなった。残ったのは美しい3人の娘たち。
原作は山崎豊子。
京マチ子、鳳八千代、高田美和の3姉妹と当主の愛人である若尾文子というキャスティング。
そこで起こる遺産相続の問題。遺書をめぐり3人の娘たち、影の女若尾文子、そして大番頭の中村鴈治郎(二代目・中村玉緒のおとうさん)をめぐる「うずまく嫉妬と欲望」をえがいた傑作です。
親族会議で故人より遺言書を託された大番頭宇市こと「中村鴈治郎」が開封し読み上げる。
大阪船場の三代にわたる女系家族の綿布大物卸問屋。数年前に妻を亡くした当主が総額数億円を残し急死しました。総領娘の藤代「京マチ子」、暖簾をつぐために養子を迎えた千尋「鳳八千代」、花嫁修業中の雛子「高田美和」が「法定相続人」です。
まず講座の第1回では遺言書の持つ意味を考えてみましょう。2019.6.10
「遺言状」です。格調高く暖簾を守ることと3人の娘たちのことをおもんばかってしたためられています。
「いっさいを取り仕切るように仰せつかったわたくしが封をきらせてもらいます。ごらんのとおり厳重な封印がされております。おあらためご確認ください。それでは故人のご遺志をお伝えさせていただきます。」
一、遺産のうち矢島商店として使用中の土地、建物、及び商品備品いっさい暖簾、営業権はそれぞれ分割することなく次女千寿に相続し(ここで次女はにんまりし、長女はむくれる)夫良吉は二代目から商いをしている矢島芳三を襲名し商いに従うこと、ただし月々の純益の五割分は長女藤代と次女千寿、三女雛子の間で三等分にして所有すること
二、大阪市西区北堀江所在の貸家20軒、及び都島区東野田町所在の貸家30軒の土地建物は長女藤代が相続すること(不満顔)したがって貸家の満役もしくは賃貸なることもしくは処分はいっさい長女藤代の自由たること
三、株券6万5千株、及び道具蔵に所蔵する当家の骨董類は三女雛子が相続すること。したがって株券、骨董の現金化は当人の勝手たること
四、右以外の遺産は共同相続財産とし、相続人全員で協議の上分割すること
五、遺言状の保管並びに執行は大番頭の大野宇市に指名いたしますゆえこの後執行はは宇市と相談の上これを運ばれたし。上記のごとくしたためたるうえは兄弟互いに相譲りあい仲睦まじく相続をなしご先祖の偉功を守り商売の繁盛と家風の厳しさを乱さぬように願いあげ候 そのほか何事もまんべんなくあんじょうにくれぐれも願い候。 四代 芳三
「ご見分を。」
そして「わては不満だす」と藤代はいいだす。
宇市はすかさず「念のために申し添えておきます。法律の上では法定相続分より遺言のほうが重んじられており効力が強うございます。」とくぎを刺す。
長女の藤代は長女としての家制度の権利意識をひきずっているように見えます。
(いまの法定相続分課税方式による相続の都度の遺産取得税方式に改正されたのは昭和33年、1958年のことです)
「法律の上ではそうでも家には家のしきたりというものがあってこれでは総領娘としての立場がなさすぎます。」
「昭和23年より施行されましたただいまの民法では相続に関しましては長女、次女、三女、権利の序列はございませんのでご姉妹平等でございます。」
叔母が(浪花千恵子)が付け加える。
「むかしでしたら藤代さんが一人で相続なさるところやけど戦後はかわりました。」
叔父もうしろから「えらい損しはったなぁ」
叔母「そやけどでもどりのあんたはんでもこうやって遺産をわけてもらえるんやから喜ばなあきまへんで!」とたしなめる。
その民法が40年ぶりに大改正され、それに伴って相続のかたちもかわることになりました。