「租税教室」講師をやります!
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小学校では英語の授業もはじまったり授業時間の確保がきびしくなっている中、学校から貴重な時間をいただいて「税金をただしく理解する」ためのお話ができることは意味深いことだと思っています。
「豊かに安全に安心して暮らせること」のために税金が使われている、そして「国民が主人公の民主主義のもとにルールがつくられている」、「社会のしくみを維持するためのものだ」ということを理解してもらうことが目標です。
「申告納税制度」を私は素晴らしい制度だと思っています。自分で計算して納税する。国は「調査権」でその制度を担保する。税理士はまさに申告納税制度を維持するために存在するといってもいい。
「申告納税制度」が取り入れられ、定着している国はゴルフが盛んなようです。打数は「自己申告」です。ずるをする人を前提にルールがつくられていません。ずるをする人は「ずるをするような程度の人間でしかない」とみられます。したがって納税は勲章です。
私はイギリス人の社会性に敬意をもっています。問題山積のおじいさんの国ですが民主主義とジェントルマンの精神がその根っこの部分にあります。戦争になるとまず貴族が戦闘機に乗ってドイツと戦い、日本の特攻隊同様有為な若者をたくさん失いました。もちろん飲んだくれのろくでなしもたくさんいるはずだし植民地政策では強欲かつ狡猾、大砲で脅し鹿児島を焼き払ったり散々なことをやってきたことも事実ですが。(さいきんリバプールが万引きかっぱらいの港町でジョンレノンも例外ではなかったと知りましたが)
いっぽうで「申告納税制度」がなじまない国々もあります。国民性ということなのでしょうからいいわるいはいちがいにいえません。だから「消費税」のように業者がかわって集める「間接税」が主流です。日本が申告納税制度が定着した国(いろんな意見があろうかと思います)であることを私は誇りに思っています。日露戦争の戦費調達のために借りた外国からの借金も返している。信用と約束を重んじる。こんな国ありますか。
国の広報担当としてではなく、そして納税者の自分勝手な考えを擁護するためではなく、「税理士会の基本理念である中立的な立場で子供たちに税への理解を深めてもらう」という主旨の授業であるからこそ講師をさせていただくことにしました。
したくないこと
1 国の下請けにならないこと
2 むりくり納税は大切だという結論ありきのシナリオに従わないこと
3 小学生、中学生がわからないことばを使わないこと
4 もったりせず、きれいごとをいわないこと
しなければならないこと
1 じぶんたちが国の主人公で税金のことをじぶんたちで決めているということを知ってもらい
2 じぶんたちで決めたからにはルールを守る、国とじぶんたちとの約束であることを理解し
3 「国のしくみ」を支えていくために税金はとても大切なものであること。(なくなったら惑星は破滅するみたいなやすっぽいおどしは使わないこと)
4 国の予算規模がどんなにすざまじいものか思い知らせる(以前の租税教室では3億円の見せ金で見た目と重さで教室に人為的にどよめきを起こしていた)、1万円札を縦に積み上げると富士山の何倍の高さになるかなど
講義では「税金の集め方」についてお話をするコーナーがあります。
Aさんは700万円、Bさんは250万円、Cさんは50万円をそれぞれ持っているとして考えてみてくださいと。
そうすると6年生の児童たちからは
1 お金をたくさんもっているひとからたくさんだしてもらう
2 100万ずつだしてもらう
3 30%ずつだしてもらう
およそこんな意見がでてくるようです。それぞれじぶんたちの考えとして説得力のあるわけかたであると思います。もちろん正解はありません。
しかしこの設例は「お金をどう集めるか」で、じつは税金でなくてもいいお話ですね。出資を募るときなどビジネスや世間一般でもありえる。コミュニティー、国民はそこにいない。
Bさんはサラリーマンだけど高校生の息子さんと小学6年生の娘がいながら給料は安い。住宅ローンも、塾の月謝もある。
Cさんはいま貯金こそないがいい会社に就職が決まりさらに親から石神井公園の近くの家を相続することになっている、としたら。
ここではじめて平等公平に負担する「税金」はどうあるべきかが登場します。社会性です。政府による政策が組み込まれます。会社とNPOが違うようにめざすものの違いが見えてきます。
「お金集め」と「税金を集める」ことの違いがでてきます。平等公平とは何かという答えのない命題がつきつけられる。税金のもつ宿命です。
「集める」だけではなく「わけてあげる」べきだという発想すらでてくるでしょう。「老後の暮らし」、「子供」、「働きざかり」、「相続」、「所得と資産」いろいろなキーワードがもつれあってからみあいます。
この交通整理と将来の道筋をつけるのが「政治」であってこれがつまるところ「税を考える」ということです。「税金」は「政治」そのものだということ。
ここまで与えられたわずかな時間内で小学生に考えさせるのは無理でしょうがここにいきつかなければ、ちょびっとでも問いかけないと意味がないという気がしています。
「明るい未来を支える税金」「みんなのための税金」ですがいろんな側面があります。光と影。影があるからと言って光を否定してはならないし、きれいごとだけではすませられません。
児童子供たちは「ずるっこ」に敏感です。見え透いた大人のうそや考え方のお仕着せは見破るでしょう。明るい未来を話すなら借金まみれであることも伝えなくてはなりませんね。でないとフェアでない。ありのままが一番かなと思います。
勉強しなければならないのは大人たちです。
「おじさん、ちゃんとおしえて!」
授業は日本全国の小中高で均質の内容となるようあらかじめ用意されたシナリオで進めます。
話題がそれないよう注意します。
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