確定申告電話相談センターの喧噪
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コールセンターなど電話をかけることはあっても、ヘッドセットをつけて電話を受けることなどなかった。
相談者がコールセンターに電話をかけるときはたいてい困った時で、緊急ですぐさまなんとかしてくれ、助けてくれのかけこみ状態でこころがとがってささくれているときが多い。
こころゆったり、しみじみしているときにコールセンターに困りごとをもちこみ相談する人などいない。
数年前赤信号停車中に、若者の運転する車に追突されたことがあった。
そのとき電話にでてくれたソニー損保のオペレーターの対応がすばらしかった。
羽田空港の駐車場においてあった車のバッテリー切れのときのやはりソニー損保のオペレーターの対応もすばらしかった。
どんな対応をしてくれたかはここではおいておくとして、「助けを求める人に親身になって的確な処置をしてくれた」ということで共通するのは「最短最速で解決してくれた」ことで、もし自分がもしこの先電話相談を受けるようなことがあるならば、かくあるべしと心に誓った。
確定申告をひかえた1月17日に国税局の確定申告相談センターのブースでヘッドセットをつけて着席した。(下はイメージ画像)
デビュー戦であった。
デビューするにあたって専門が法人税であることから事前に平成31年の税制の改正事項と贈与税、不動産譲渡所得、住宅取得控除、株式の譲渡、配当控除、損益通算、医療費控除など野球でいえばライト、センター、レフトの守備範囲までボール処理の甘いところを中心に徹底的に調べた。
大学受験のときでもこんなにお勉強した記憶はない。
画像奥の男性は私の若いときに似ており、私のオペレーター席のとなりの席は画像中央の女性のように若く元気はつらつとしたきりっとした女性税理士だった。手前の美しい女性の席は実際はどちらかというと「おつかれ気味の」おじ(い)さま税理士であった。
違うのはブースの間に仕切りがあって、競馬の「ゲートイン」状態であったこと。九州とんこつラーメン「一蘭」のカウンターをイメージしていただきたい。替玉はない。期間中インフルエンザになった相談員の替玉になることはあるが。
お昼とわずかな休憩時間は別として9時から5時まで相談の電話がひとときも途切れることはなかった。すぐにズバッと解決できることもあれば国税庁の確定申告作成コーナーの画面でじっさいに入力しながら画面が遷移しない理由を30分かけて模索したこともあった。
「もうこりごり」が初日の印象であったが、毎年の税制改正にキャッチアップしていくための絶好の機会であると感じた。
解説本をいくら買い込んでも身につかないことはみなさんもご承知の通り。税理士資格の年度更新作業としてぜひとも従事すべきであろう。
電話にでず、休めばいいじゃないかと思われるかもしれない。しかし、となりの元気はつらつ先生が果敢にしばしも休まず槌打つ響きで応対している横でふわふわうだうだ休んでいるわけにはいかない。なにより相談したい人をたくさん待たせているわけだから、電話を受けることによって待たされていた人が一人減る、というへんな気持にもなった。
ここは「銃弾飛び交う最前線の戦場」である。コーヒー飲みながら後方の会議室でああだこうだいっている大本営参謀本部ではない。
1日で1年分しゃべった、と感じた。
ジャパネットのコールセンターは「はい、ご注文ありがとうございます。承ります。」でいいが、確定申告の相談センターではまず、電話に出た瞬間に、即座に
1 相談者が税法の知識がどのくらいのレベルにある人か(ひとことふたこと話せばわかる)
2 電話がつながらず待たされて怒りモードの相談者に対しては相談に入る前にお待たせしたことを詫びる
3 どこがわからず悩んでいるか、最短最速で判断し、チェックシートや法令の資料を用意する
4 痛みの原因をつきとめ、助言する
5 つきとめられないときは迷わず調べたうえで電話折り返しとする
1件ほど、菅官房長官の「桜を見る会」の記者会見のときのように目が泳ぎ、「差し紙」が必要なときがあった。
お医者さんと同様、どこが痛いか、痛い原因は何が考えられるか、知識と経験で何を処方するか決める。
今年の相談で目新しかったのは「雑損控除」の相談で千葉県で台風被害を受けた方から自家用車の損害が控除の対象となるかという内容があったことだった。首都圏での自然災害被害への対応をはじめて経験した。
これは一般的に自家用車の自然災害による損害は控除の対象となる生活関連資産ではないため、国税局の担当者と協議の上回答させてもらった。(回答は「控除対象となる」、で千葉県南部の地域は自家用車が生活上必要な財産であると認められるため)
個人的には森田知事が災害緊急対応すべき時に都内のいきつけの理髪店ではげかくし散髪していたこともありなんとかしてあげたかった。が、これは課税庁である税務署の判断での回答をする。
2020/1/19
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