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カゴメでは2019年12月決算から従来の日本基準に変えて国際基準による財務諸表等によることとしました。
「国際的な比較可能」のためで上場企業がつぎつぎと導入しています。
変わったのはどこか。
売上そのものです。
「値引」は最初から「売上」から引いてしまいなさい、販売促進費もそうだろう、とより売上を実額に近いものにする表記ですね。あらかじめ組み込まれた値引きなど「経費の発生」ではなく「売上のマイナス項目」だろ?と。
だからカゴメの売上は前年比10%ほど減少する見込みです。
もひとつ、「経常利益」がなくなりました。
経常利益とは「営業利益に本業以外で継続的に生じる投資収益や資金調達コストなどを加味した利益」です。社員たち、取引先が1年間がんばってきた企業の特別な事情を除いた総合的な稼ぐ力を表します。
会社の経常的な業績を判断するためもっとも重視されている数値です。これがなくなったら困ります。
それにかわるのが「IFRS営業利益」です。下記の事業利益に営業外損益の一部を加えたものです。これが「経常利益」にかわる指標となります。
カゴメは「事業利益」を重要と考え自主指標として表記することにしました。
「事業利益」は売上総利益から販管費等を引いて「*持分法損益」を加えたものです。
*「持分法」とは関連会社や非連結子会社の純資産(または資本)および損益のうち、親会社に帰属する部分の変動に応じて、親会社の投資の金額を事業年度ごとに修正する方法、をいいます。
たとえば親会社が30%の株式をもっている関連会社が1000万円の当期純利益をあげたとします。するとその純利益の30%は親会社に帰属する利益となりますよね。持分がある、ということです。
その利益(損失のばあいもある)について貸借対照表の「関連会社株式」の金額を300万円増加させるとともに連結損益計算書に300万円の「持分法による投資利益」を計上することになるのです。
連結対象の子会社、カゴメでは15社、はすでに決算を「連結」してしまっています。持分法損益は子会社以外の関連会社などのグループ会社の業績をひっくるめて評価する項目ですね。
カゴメでは「親会社株主に帰属する当期純利益」は2018年12月期で90億円にもなります。この90億円を財産、利益として評価し事業利益に組み込んでいるのです。
北九州市若松区に響灘菜園㈱という子会社もありますね。若松はトマト栽培に適しているのでしょう。
しかし、響灘の広大な埋め立て地の、電源開発のところに巨大なトマト菜園があったとは。
カゴメ、応援してます!
「国際会計基準(International Financial Reporting Standards、IFRS)は、ロンドンを拠点とする民間団体である国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board、IASB)が設定する会計基準のことです。
「世界共通の会計基準」づくりを目指して始まり、2005年にはEU域内上場企業に適用義務化され、現在は110以上の国と地域で採用されており、今後も広がっていくといわれています。現在、大きな資本市場の国では米国と日本だけ導入されていないので、世界中からこの動向が注目されています。日本も当初は2015年に上場企業にIFRSを強制適用する予定でしたが、震災の影響や米国の対応遅れ(重要論点が最終化に至らない)などから2015年の強制適用はなくなり、強制適用時期が不透明な状況になりました。現在は、適用企業を増やすことを目標に普及促進を図っています。
IFRSには3つの特徴があります。
1つは原則主義です。原則主義とは解釈指針の他には、詳細な規定や数値基準がほとんど示されていない会計主義のことであり、その分、自由度が高くなります。このため、解釈の根拠を外部に明確に示す必要性があるため、大量の注記がなされます。これに対して、日本基準は細則主義で、会計基準や解釈指針、実務指針等々、細かく規定が定められています。
2つ目は貸借対照表重視です。IFRSでは、投資家や債権者が必要としている資産価値を評価する情報として、将来キャッシュフローの現在価値を重視する考えですが、日本では期間損益を重視する損益計算書重視の考え方です。
3つ目はグローバル基準です。各国の独自性(例えば税務上問題など)も加味せず、議論や定義も英語で行い、言語差異を防ぐ工夫をしています。IFRSの3つの特徴がメリット・デメリットにもつながります。」
(経理プラスWebSiteより)
アイファース、イファース
「寺田氏 たとえるなら、今までの会計基準では、企業は「制服」を着せられていたようなものです。ファッションセンスのある人も、「制服」では個性を表現しにくかった。そして、IFRSの適用というのは、その「制服」が撤廃されるようなものです。どんな服でも自由に着られるようになる。しかも、世界中の人に自分のファッションセンスを評価してもらえるようになるわけです。」
「寺田氏 投資家の情報開示ニーズを踏まえ、IFRSでは従来の会計基準から大きく2点が変更されています。1つ目は、「企業の業績評価」から「企業の価値評価」への転換。投資家は「過去の利益実績」よりも「将来の企業価値」が知りたいと考えています。「将来の企業価値」とは、企業がキャッシュを生み出す能力のこと。そのためIFRSでは「PL(損益計算書)重視」ではなく「BS(貸借対照表)重視」となっています。2つ目は、「規則主義」から「原則主義」への転換。従来の会計基準の特徴は「規則主義」。会計処理のルールや数値基準が細かく定められていました。
~IFRSでは、具体的な耐用年数は定められていません。『耐用年数は、経営判断による使用見込年数を適用する』というような原則が示されているのみ。企業は経営者の経営方針をもとに、自社で具体的な耐用年数を決定することになります。そのため、同業の2社が同じ設備投資をしたとしても、『A社は5年』、『B社は7年』と異なる耐用年数を採用するケースもありえます。」
プロジェクト型ビジネスシステムのZACのサイトで監査法人の寺田氏による解説です。