解雇予告手当 2019.2.7
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本日の相談会場で「解雇予告手当」の相談を受けました。
労働基準法の定める「解雇予告」のさい支払われる手当です。従業員を解雇しようとする場合解雇日について少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告しないのであれば30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない。
20日前の予告なら10日分の手当を支払えばいいというように「日数」と「支払」の併用も可能となっています。
使用者から「手当」として支払われるものは給与所得として課税されるのが基本で、非課税になるのは通勤手当のうち「通常必要とされる部分」などに限られます。では、この「解雇予告手当」はどうか。
会場は大混雑でゆっくり調べるわけにもいかず回答は「保留」し、あとでメールする、ということにしました。
労基法(S23.3.17基発464号)によると「解雇予告手当は賃金ではないが、解雇の申渡しと同時に、通貨で直接支払わなくてはならない」とあります。
我々のバイブルである分厚い「確定申告の手引き」をめくり「給与」の項目で取り扱いを調べるが不明。
そこで「困ったときの」国税庁ホームページで「解雇予告手当」で検索。
退職所得であれば勤続年数に応じて控除額がある。
勤務20年以下であれば、40万円×勤続年数の控除があり、80万円未満であれば80万円が控除されます。
ご相談者の場合、この「解雇予告手当」が他の「給与」とともに含まれ所得税が源泉徴収され、源泉徴収票が発行されていたことになります。
もし、納税者がこの源泉徴収票に記載された金額に退職所得である「解雇予告手当」30日が分含まれていてその分の源泉税が引かれていると気づかなかったら交付された源泉徴収票をもとに「全額を給与」で申告していたはずです。私たちもその源泉徴収票を見ながら「手当」だから「給与」として何も疑問をもたず申告書を作成していたことでしょう。
事業所の経理担当者はよほどのベテランでない限り、この「解雇予告手当」が「退職所得」にあたるとは思わない。まして「解雇予告手当」はイレギュラーなことであってなじみがない。
「労基法」の「解雇予告手当は賃金でない」の部分がカギですね。そして、「確定申告の手引き」の「給与」の項目には解雇予告手当に関する記載はありません。索引にもなく、「給与」に記載がないなら特別な規定もなかろうとなります。最初から「退職所得」で調べなくては確認できません。やはり、充実している国税庁の「WEB検索」がいちばんですね。
税金のこともよく勉強され日本で活躍している外国籍の方にさっそく回答することにしますが、この後の手続きをどうするか。「給与」と「解雇予告手当」が合算され「給与所得の源泉徴収票」が作成、提出されている。
A 会社が税務署に「過誤納額の還付請求」し納めすぎ分を本人に返還する
①会社が誤って「退職所得」を合算して給与所得として源泉徴収してしまい、給与支払報告書を区に提出した。
②「正しい給与の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」とに区分し源泉徴収税額を再計算して作成しなおす。その提出もれと本人交付もれ
③確定申告では「退職所得」として申告するが引かれている源泉税をどうするか。分離課税であり申告書上では控除、還付できない。
④会社が誤って給与の源泉税を引いて税務署に納付してしまったため、会社が税務署に「過誤納額の還付申請」をし、本人に還付する。(正しい「源泉徴収すべき税額」との差額)
⑤とりいそぎ確定申告では誤った源泉徴収票は添付せず、正しい給与支給額と正しい「源泉徴収すべき税額」、そして退職所得の金額を記載し提出した上で、後日「正しい源泉徴収票」を税務署と区に提出する。
B 納税者本人の「更生の請求」
いったん、交付された源泉徴収票をもとに「全額を給与」で申告し、「源泉税控除」を受ける。
そして後日理由を付し「更生の請求」を行い、納めすぎとなった差額の還付を受ける。
誤っていると知りながら違う所得区分で申告するということになりますが、引かれすぎた源泉税はそのまま活かすことができると同時に辞めた会社から徴収しすぎた源泉税を返してもらうこともなく確定税額に充当あるいは還付ができる。
ただし、「更生の請求」のさいに関係書類(「源泉税を過大に徴収した給与の源泉徴収票」と「退職金の源泉徴収票」)を用意してもらわねばなりません。会社は「過誤納額の還付申請」はせず、ただ源泉税を引きすぎて右から左に国へ納付したままとし、本人の確定申告での精算に委ねる。
C 本人が給与と退職所得を区分して記載し、説明書を添付し確定申告する
交付された源泉徴収票をもとに「給与所得」と「退職所得」に区分して記載し申告する。
引きすぎとなっている源泉所得税額はすべて給与所得にかかる税額として扱い源泉所得税控除を受ける。
区分記載したことに関する添付書類をつける、これでどうでしょう。
日本語が堪能とはいえ外国人であり、というか外国人であるからこそ心配になります。
2019.2.8